アッシュルの地はバビロニアの北西に位置するチグリス川沿いの高原地帯であり、
クルディスタンや
アルメニアの山岳地帯を北の背に、メソポタミアの低地をはるか南方に望む場所に位置している。この土地はバビロニアのようなメソポタミア低地域と異なり、年間降水量200mm以上あり、農業に
灌漑を必要としない。いわゆるドライファーミング(天水農業)地帯である。そのため、バビロニアが常に悩まされてきた農地の塩類集積とは無縁であり、年毎の降水量に左右されて収量が不安定な側面は否めないものの、塩分に弱い
小麦を豊富に産した。また、いわゆる
肥沃な三日月地帯の中央部でもあるため、
メソポタミアと
アナトリア半島、
シリア、
イラン高原といったオリエント各地を結ぶ交易の中継地でもあった。