無伴奏歌唱は、教会の最初期から
キリスト教の
典礼に組み込まれていた。1990年代半ばまでは、
古代イスラエルの
詩篇歌唱が
初期キリスト教の典礼および聖歌に強く影響を与えたと考えられていたが、今日では、最初期のキリスト教の聖歌には詩篇をテキストとするものがなく、また紀元
70年の
イスラエル包囲以後数世紀にわたって
シナゴーグで詩篇が歌われていなかったことから、この見解は研究者の間では否定されている
[David Hiley, Western Plainchant pp. 484-5.] 。ただし、初期キリスト教の典礼が
ユダヤ教の伝統を受け継ぎ、それが後まで聖歌のなかに痕跡を留めていることは事実である。例えば
聖務日課はユダヤ教の祈りの時間に起源をもつものである。また、
アーメンや
アレルヤは
ヘブライ語であり、「
サンクトゥス」の三唱は
アミダー(立祷)でおこなわれる
ケドゥーシャ(三聖唱・「神は聖なるかな」と3度唱える)を受け継ぐものである
[Willi Apel, Gregorian Chant p. 34.]。