ミサ曲 wikipedia|無料辞書
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ミサの典礼文には固有文と通常文があり、固有文はミサの行われる日によって扱われる文が異なるが、ミサ曲は基本的に通常文をテキストとしているため、作曲された時代背景が異なっても、歌詞そのものは一定である。
西方教会においては
グレゴリウス1世の頃より典礼の形式が整備され、最初期のミサにおいては、典礼文は
グレゴリオ聖歌や単声による朗唱方式によって歌われた。これらが音楽的な基盤となり、多声によるミサ曲が書かれるようになった。複数の音楽家がミサの各章ごとに付曲していたが、のちに一人の音楽家が全曲を扱うようになった。全曲を通じて一人の音楽家によって作曲されたミサ曲は、
14世紀、
ギヨーム・ド・マショーの『ノートルダム・ミサ』が最初のものといわれる。さらに、声楽に加えて器楽も付加されるようになり、大規模化された。
19世紀、
ベートーヴェンのころには、宗教音楽の域を超えた演奏会用の作品としての位置づけも持つようになった。
◆ ミサ曲の構成
ミサ曲の基本的な構成要素は、一般的に、『
キリエ』(求憐誦)、『グローリア』(栄光頌、天には神に栄光)、『クレド』(信経、信仰宣言)、『サンクトゥス』(三聖頌、感謝の賛歌)、『アニュス・デイ』(神羔頌、神の子羊)の5曲である。これらはみな通常文といい、どのような場合にも必ず同じ典礼文を用いる。
ミサ・ソレムニスは、これら5曲をすべて備え、「盛儀ミサ」という意味がある。邦訳では『荘厳ミサ曲』ともいう。これに対し、例えば『キリエ』と『グローリア』のみで構成されるような
ミサ・ブレヴィス(小ミサ)もある。
プロテスタントでは、こうした省略型のミサがよくみられる。中世では、この他に『イテ・ミサ・エスト』(終わりの言葉、ミサの散会)も作曲された例があるが(例えばギョーム・ド・マショー)、一般には『キリエ』の旋律を当てはめていた。
ミサで歌われるものには、この基本要素に、入祭唱(イントロイトゥス)、
昇階唱(グラドゥアーレ)、アレルヤ唱、
続唱(セクエンツィア)、奉献唱(オッフェルトリウム)、聖体拝領誦(コンムニオ)などの固有文が加わる。固有文は、例えば祭日や死者ミサなど、時と場合によってその構成が異なる(死者ミサについては
レクイエムの項を参照)。ミサ曲の作曲は、どのミサでも歌われる通常文に対して行われるのが普通で、固有文はグレゴリオ聖歌を使用する場合が多い。年間に用いられる全ての固有文(ただしオッフェルトリウムを除く)に作曲した例は
ハインリヒ・イザークの3巻の「コラーリス・コンスタンティヌス」(未完/ゼンフル補筆)が存在するのみである。続唱は中世後期からルネサンス期初頭にかけて発達したが、1545年から1563年にかけて開かれた
トリエント公会議で大幅に整理された。