天部諸尊のルーツである古代インドのバラモン教の神々は、宇宙の創造神から、悪霊鬼神の類に至るまでさまざまである。そのうちには、男性神(毘沙門天、大黒天など)、女性神(吉祥天、弁才天など)、貴紳形(梵天)、天女形(吉祥天)、力士形(金剛力士)、武将形(十二神将)など、さまざまな形態や性格のものを含む。
仏教の信仰・造像の対象となっている、広い意味での「
仏」は、その由来や性格に応じ、「如来部」「菩薩部」「明王部」「天部」の4つのグループに分けるのが普通である。「
如来」とは「仏陀」と同義で「悟りを開いた者」の意、「
菩薩」とは悟りを開くために修行中の者の意、なお
顕教では、
十界を立てて本来は明王部を含まない。これに対し密教では、自性輪身・正法輪身・教令輪身の
三輪身説を立てて、その中の「
明王」は教令輪身で、如来の化身とされ、説法だけでは教化しがたい民衆を力づくで教化するとされる。そのため忿怒(ふんぬ)といって恐ろしい形相をしているものが多い。以上3つのグループの諸尊に対して、「天部」に属する諸尊は、仏法の守護神・福徳神という意味合いが濃く、現世利益的な信仰を集めるものも多数存在している。
安置形態としては、寺院の入口の門の両脇に安置される場合、本尊の周辺や仏壇の周囲に安置される場合などさまざまであり、毘沙門天、弁才天などは堂の本尊として安置され、崇敬の対象となっている場合もある。