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生活保護(せいかつほご)とは、日本の政府・自治体が経済的に困窮する国民に対して生活保護費を支給するなどして最低限度の生活を保証する制度。
◆概要
生活保護とは
憲法第25条に規定する理念(
生存権)に基づき、
国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その
最低限度の生活を保障するとともに自立を助長することをいう。最低限の生活ができない人間を放置せず、社会全体で支え合うべきであるという価値観が背景にある。高齢化社会に伴って高齢者の受給が増えているため多大な財政負担が発生しており、深刻な問題となっているが、その反面、累進税率に基づいて徴収した税を財源として最も困窮している者に対して支給されるので、
所得の再分配機能=格差是正効果もあるとされる。
◆ 生活保護の原則
生活保護は次の原則に則って適用される。
・生活保護は、生活保護法4条1項に定める補足性の要件を満たす限り、全ての国民に無差別平等に適用される。生活困窮に陥った理由や過去の生活歴等は問わない。この原則は、
法の下の平等(
日本国憲法第14条)によるものである。
・ 補足性の原則(生活保護法第4条)
・ 生活保護は、資産(預貯金・生命保険・不動産等)、能力(稼働能力等)や、他の法律による援助や扶助などその他あらゆるものを生活に活用してもなお、最低生活の維持が不可能なものに対して適用される。
・
民法に定められた扶養義務者の扶養、その他の扶養は生活保護に優先して実施される。
・ 申請保護の原則(生活保護法第7条)
・生活保護は原則として要保護者の申請によって開始される。申請権は、要保護者本人はもちろん、扶養義務者や同居の親族にも認められている。ただし、急病人等、要保護状態にありながらも申請が困難な者もあるため、法は急迫保護(職権保護)が可能な旨を規定している。
・ 世帯単位の原則(生活保護法第10条)
・ 生活保護は世帯を単位として要否を判定し、その程度を決定する。
・例外として、
世帯分離という制度がある(大学生など)。
◆ 生活保護の種類
生活保護は次の8種類からなる。
:生活困窮者が、衣食、その他日常生活の需要を満たすための扶助であり、飲食物費、光熱水費、移送費などが支給される。主として第一類と第二類に分け計算され、第一類が個人ごとの飲食や衣服・娯楽費等の費用、第二類が世帯として消費する光熱費等となっている。
:生活に困窮する家庭の児童が、
義務教育を受けるのに必要な扶助であり、教育費の需要の実態に応じ、原則として金銭をもって支給される。
:生活困窮者が、家賃、間代、地代等を支払う必要があるとき、及びその補修、その他住宅を維持する必要があるときに行われる扶助である。原則として金銭をもって支給される。
:生活困窮者が、けがや病気で医療を必要とするときに行われる扶助である。原則として現物支給(投薬、処理、手術、入院等の直接給付)により行われ、その治療内容は
国民健康保険と同等とされている。なお、医療扶助は生活保護指定
医療機関に委託して行われるが、場合により指定外の医療機関でも給付が受けられる。予防接種などは対象とならない。
:要介護又は要支援と認定された生活困窮者に対して行われる給付である。原則として、生活保護法指定介護機関における現物支給により行われる。
介護保険とほぼ同等の給付が保障されているが、現在普及しつつあるユニット型特養、あるいは
認知症対応型共同生活介護、特定施設入所者生活介護は利用料(住宅扶助として支給)の面から制限がある。
:生活困窮者が出産をするときに行われる給付である。原則として、金銭により給付される。
:生業に必要な資金、器具や資材を購入する費用、又は技能を修得するための費用、就労のためのしたく費用等が必要なときに行われる扶助で、原則として金銭で給付される。平成17年度より高校就学費がこの扶助により支給されている。
:生活困窮者が葬祭を行う必要があるとき行われる給付で、原則として、金銭により給付される。
これらの扶助は、要保護者の年齢、性別、健康状態等その個人または世帯の生活状況の相違を考慮して、1つあるいは2つ以上の扶助を行われる。
◆ 生活保護の地区分けと基準額
生活保護は全国を市町村単位で6段階に分けている。また、冬期加算の基準にのみ使用される5段階の区分がもうけられている。
◆ 生活保護の財政
生活保護にかかる費用は平成19年度において約2兆7千億円となっており増加中である。高齢者の生活保護受給世帯が増加傾向であり、今後、団塊世代の生活保護受給世帯の増加に伴い、倍増していくことが確実である。
◆ 生活保護の支給例
平成17年度の基準(第61次改訂生活保護基準額表より)
東京都特別区内在住(1級地の1)
・単身世帯 31歳
・第1類 40,270円(20-40歳)
・第2類 43,430円(単身世帯)
・住宅扶助 (最大)53,700円
合計 137,400円(月額)
・4人世帯 41歳(障害者1級、障害年金無)、38歳、12歳、8歳、妊娠中(7ヶ月)
・第1類 38,180円(41歳)、40,270円(20-40歳)、42,080円(12-19歳)、34,070円(6-11歳)
・第2類 55,160円(4人世帯)
・各種加算
・妊婦 13,810円(妊娠6ヶ月以上)
・障害者 26,850円(障1・2級/国1級)
・特別介護料 12,090円(世帯員)
・児童養育加算 5,000円(第1・2子)
・住宅扶助 (最大)69,800円
・教育扶助 2,150円(小学校)、4,180円(中学校) 学級費等(最大)610円(小学校)、740円(中学校)
合計 344,990円(月額) ※小中学校の教材費、給食費、交通費等は実費支給。