異教徒"pagan"の語源であるラテン語"paganus"には本来ユダヤ教は含まず、ギリシア・ローマ的な偶像崇拝・多神教徒を意味する言葉である。その為、古代末期以前までにおけるユダヤ教、初期キリスト教に関連する文脈では異教徒とは特にユダヤ・キリスト教以外の、それまで古代世界各地に散在した諸信仰およびそれらを元にインテルプレタテオ・ロマーナ(interpretation of Roma ≒ ローマ的解釈による信仰の統合)によって成立したローマ的多神教を意味する。その後、キリスト教が古代地中海世界において支配的地位を占める様になると、次第に単純に「キリスト教以外」を意味する事が多くなる。しかし、初期のイスラム教がユダヤ教徒、キリスト教徒ら同じセム的一神教徒を啓典の民として認め人頭税を免除していた事を考えると、必ずしも、キリスト教とそれ以外という見方を取ることはできない。またキリスト教世界内部においても、土着のケルト的、あるいはゲルマン的信仰の名残が残っており、フォーク・ロアや聖人信仰と結び付くことで、民衆文化の内部に多くの異教的要素が残存していた事が指摘されている。