民主主義のもとにある国家においては、いわゆる時の権力者である
政党等は、例えば立法を担う議会の決議要件を充足する勢力を有するなど法律を自らの意向に従って制定する権限を持つのが通常であり、一面では
民主主義はそれを正当に要求するものである。ところが、法律によって規律されるレベルを超えた普遍的な価値、根元的な価値に関しては、法律に関する授権を超えた特別な決議要件を必要とするという考え方が硬性憲法という発想に繋がる。硬性憲法の長所は、時の権力者が(一般の法律はともかく)憲法をも自分に都合のいいように書換えることにより権力を恣意的に行使し、国民の人権を侵害する危険性を低減できる点にある。しかし、改正し難い結果、時代の変遷に迅速に対応できなくなってしまうという短所も存在する。
なお、硬性憲法か軟性憲法かの区別は、あくまでもそれぞれの国家における立法手続・法律の改正手続に比べて「形式的に」厳格な手続が要求されるか否かという点で区別されることに注意する必要がある。政治的理由などにより実際に改正されることがほとんどない場合であっても、通常の法律の改正手続で憲法改正できる場合は、あくまでも軟性憲法である。